二百字掌編シリーズ 『青き目をした与力』

六十七

「……以上になります」

　菊やん、報告に己の考えも添えたのだったが

「なかなかの推理やな。確かに、客ん中に慎重もんがいるみたいやな」

　推理と言われて喜ぶ若者、思わず右手の拳を握り

「よっしゃあ！」

　そこに顎に手をやって、これがなかなか顎をつかめぬ桜殿。数度の試みの後、ようやくのことでつかんで

「よっしゃあ！」

「何してまんの？」

「あ、いや……で、思うに客と吉次の関係もさながら、その夫婦三組の関係も気になるのだが」