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六十四

 こちらは奉行所内の資料部屋。

 先刻より、山の如く積み上げられた数多の資料に目を通しているは――


「もうね、どんだけ事件って起きてるのよ!」


 汗をかきかき明智様、口をついて出るは愚痴ばかり。


「そら、百万のもんが住んでますさかいな」


 こうアッサリと答えるは、団扇うちわ片手にくつろいでいる吟味方。

 確かに宛のない作業だけんど、何もさせんよりはマシやろ――こんな判断によるものだ。


「ねね? ちょっとでいいんで、休憩とらせて」



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