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十六

「ほな、こんなんはどないでっしゃろ?」

 怪訝そうな相手だったが


「吉次はんが、ついウトウトして……知らぬ間に、船は内海より外海へと。ま、艪一本ごときじゃ、高波相手にゃひとたまりもないですけんど」


 これには、さすがに気色ばんだ女将


「そこまで過酷な働きはさせておりませぬ」


「誰も流行りの黒稼業とは言ってまへんって」


「そ、それなら別に」


 ここで破近、少々角度を変え


「その船の大きさっちゅうんは、どんくらいでっか?」



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