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 ようやく、書物よりその視線を上げてきた男


「で、今捜索してるんか?」


「あ、はい。松様を中心に」


 破近、これを聞いて


「そんなら、任せておいて大丈夫や」


 だが事情通の喜助、一言添えてきた。


「でも、菖蒲様もご一緒に」


「もう、あの阿呆が! すぐしゃしゃりでよってからに!」


とは言うものの一応同心なので、これも致し方ないこと。

 ここで吟味方、すっくと立ち上がり


「今度しょーもないことしたら、期限なしの自宅謹慎にしたるわ」



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