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三十八

「菊やんな? 賊はここから入ってきたん?」


「ええ、そうだと聞きましたが……何か?」


 これに破近、首を傾げながら


「ようも外しよったなって」


「え?」


「ほれ見てみ?」

 破近、ガタガタと雨戸を揺らしながら


「ちょっとやそっとでは外れそうにないやろ?」


 菊やんも揺らしてはみるものの


「た、確かに。となると、その盗人って、かなり腕のある奴ですね?」


 だが破近、これには答えず


「なな、珠代はん? 目を覚ましたんは、いつでっか?」



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