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 入ってきた所より外へと出る。無論、雨戸は外したまま。その際に珠代の耳に届くよう、わざと慌てた風に音まで立てた。とはいえ、この本人としては到って冷静そのもの。


 さあ、これにて一生に一度きりの盗人役も終いだ。

 明日の朝は何食わぬ顔で、いつものようにかかりつけの医者として再びやってこればよいだけの話。何も心配する必要はないのだ。


 もう充分だろう。

 ではそろそろ、この記憶全てを頭の中より消し去るとでもしようか――



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