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 医者にあるまじき悪行の数々にて、建てられたこの屋敷。

 こうやって改めて眺めると、確かに相当広い。広いが、その隅々まで把握できるほどになっていた――そう。私はすでに、病に伏しているあやつのかかりつけの医者として、かれこれ一年近くにもなる。ここまでくるのに、如何ほどの苦労をしてきたことか。


 今はすでに丑二つ(午前一時半~二時)。木戸番の夜警も、とうに終わっている。

 そして目の前の引き戸。内より、つっかえ棒がしてあるのも承知だ。



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