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三十九

「でも、見つかる前にそいつらを回収しないと駄目ですよね? そんな暇なんて……」

 頭の中で、その時の様子を思い返す姐さんだったが――


「あ! そう言えば暗闇の中、確かお民って転んでましたっけ! それって、わざとそんな振りをして、その隙に?」


 これにも相手の事を思ってか、曖昧に答える男


「そうかもでんな」


「一旦家まで戻ったお民が、六つ半(午後七時)より始まる打ち上げに出かけるまでの間に手をかけ、その懐や袖の中に懐炉を入れ……」


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