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三十七

「そんなもんですかい」


「んだんだ。で、今回のぬくもりですわ。これってでんな、如何にも医学を少しばかり齧ったもんの仕業っぽくありまへんやろか?」

 そう言いながら破近、満を持して布団の中より取り出したる物は――金属でできた一つの小さき箱だが?


「これ、わいも重宝してますんや」


 これに目を凝らす姐さんだったが


「それって暖を取る、確か懐炉なる代物ですよね?」

と答えるや否や


「ま、まさか、そいつをお民が使ったと?」


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