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第三十五話 私が見たと娘は言う 一
今日は一年の締めくくり――そう、大晦日である。だが誰もがせわしなく動き回ってるというのに、この男ときたら
「んもう! 何で床に就いたまんま年越さなアカンねん!」
布団の中で愚痴なんぞを垂れている。
そして忍びの頭巾で口やら鼻を隠した緑丸、家中をホウキやらハタキで掃除しまくっている中
「大丈夫ですかい、旦那?」
入り口より現れた一人の客。それを見た助平野郎、布団の中より跳ね起き
「ね、姐さんやん……あいたたた!」
*エリザベス・フェラーズ「私が見たと蝿は言う」への 、ほんの1 %のオマージュ