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六十二

「ギクッ」


 思わず声にした女房に


「わかりやすいやっちゃな。で、何でやねん?」


「そらな、虐げられた晩飯やったさかい、つい言うてしもうたんや」


 これを聞き、溜息をつく亭主


「はあー、やっぱ飯かいな。おまえの弱点やさかいなあ」


「そやかてな、そのあとには鯉やら松茸やら……」


「今更、そんなん聞きとうもないわい。それよか本題や」


 だが、お富さん


「本題っちゅうたってな……先に湯につかってたおなごが血い流しとっただけや」



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