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四十四

 さてさて、こちらは台風一過の破近宅――だが、朝っぱらより


「だ、旦那! てーへんだ!」


 この声に目をこすりながら現れてきた、その旦那


「んもう! おまえってな、ホンマ目覚ましやな!」


 だが喜助、そんな皮肉も通用せず


「だって、旦那。木俣様がお呼びだそうで」


「何事か思うたら、何や毎度の事やん……」

 ここで、その顔色が変わり


「ま、まさか、関所破りの事がバレたんちゃうやろな!」


 これに笑顔の喜助


「ほら、てーへんでしょ?」


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