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四十三

「お縄につけやて?」

 無論この状況を打破するなど、鬼にとってみれば造作もなき事。だが先刻の関所破りに加え、今度は殺しの容疑ときた。


「あの阿呆、職を失うかもしれへんわな」


「何をブツブツ言っておる……で、お縄につくんじゃな?」


 これに両手を差し出したお富さん


「早よ、さっさと縛ってんか!」

 だがこの時、傍らにて高笑いをしている女将の顔だけは、その目にしっかりと焼き付け


「この地獄へ、また戻ってきたるさかいな!」


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