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三十四

 すべての料理を犬のように皿の隅々まで舐め回したお富さん、部屋に戻るや否や


「ほな、ちょっくら寝よかいな」


と、すぐにゴロンとなっている――今度は牛か?

 それにしても、こんな細身のどこに大量の食い物が入るのか? それとも、よほど便通が良い……


「ほっとけ!」



 やがて、己のイビキの音に目を覚まし


「ああ、ビックリしたわ!」

 すぐに跳ね起きた鬼もしくは牛、傍らの手拭いを肩からぶら下げ


「ほな、地獄なるもんを浴びてこか!」


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