二百字掌編シリーズ 『青き目をした与力』

二十七

　二人を責めるつもりなど毛頭ない。別に誰であろうと、こうなるに決まっている。

「こ、この化け物め！」

「お、覚えてやがれ！」

　こう捨て台詞を残した二人、一目散に来た道を転び転び引き返して行った。

　これを腰に両手を当てたまま見届けた鬼、ここで勝ちどきを一発かまし

「ガッハッハ！　雲助が蜘蛛の子を散らすように逃げよったわい！」

　やがて壊れそうな吊り橋もなんのその、旅館先へとやってきたお富さん。

「ごめんくださいましー」