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二十五

 棒ごと駕籠を持ち上げた赤鬼に


「て、てめえ、人の商売道具に何しやがるんだ!」


「じゃかあしいわ、このボケ! そこで黙って見とかんかい!」

と、ほざいたあと、己を軸としてぶるんぶるんと振り回した挙げく


「とおりゃああ!」


「や、やめろー」


 だが時すでに遅く、駕籠は見事に回転しながら谷底へと姿を消していった。

 それを見やった鬼さん、満足げに


「我ながら、よう飛びよったなあ。ま、差し詰めお江戸新記録っちゅうとこやろな!」


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