二百字掌編シリーズ 『青き目をした与力』

四十

「しかし日本人に？」

　隣で訝る若い男。それに医者が

「まあいいじゃないか、ヨハン。この方も半分はオランダの血だ。それに……」

　ここで真顔に戻り

「命も二回狙われている！」

　これに真面目そうなヤンが

「二回って？　海に落とされただけでは？」

「いや、そこにあるスープに毒が入れられていたんだ」

　この言葉に全員が目を瞬かせ、例のカップに目をやっている。

　その時、一人の人物が首を激しく左右に振り

「わ、私は何もしてませんよ！」