二百字掌編シリーズ 『青き目をした与力』

九

「やっぱりな。で、面接して、即採用やったやろ？」

「その通りです」

「その通りって……あのな、上司のわいが言うのもなんやけんどな」

　破近、ここで菖蒲殿について話をしだしたのだが――それを聞き終えた男が

「じゃあ、辞めます」

「す、素直すぎるわ」

　だが、相手は続けて

「その代わりに、鈴木様の岡っ引きになります」

「あ、阿呆言え！　すでにわいのとこには、鬼霧組の親分はんがおるわ！」

「そいつは分が悪いんで……諦めました」