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二十九

 すなわち――襲われるべくして襲われたのでは?


 早速、銀の箸を食器の中につけた破近。

 何の変化も見て取れない、こう思った瞬間、スープの中の箸が黒ずんできた。


「ひ、砒素って……」


 驚べき結果を、ただ呆然と見ている彼。だが、これで狙われているのが明確になった。


「何で、わいなんやろか?」


 やがて、よろよろとした足どりで部屋を出た破近。

 ようやくお目当ての人物を見つけ


「な、ハンスさん。この船の図面、見せてくれへん?」


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