二百字掌編シリーズ 『青き目をした与力』

五十八

「でもねえ、皆さんとも恨み辛みを持ち合わせてるみたいだけど」

　いきなり姐さん、こっちをギロッと

「先生にも、何か他人様には言えない恨みがおありで？」

　嫌な言い方しやがって、このアマ！

「叩いても、埃一つ出てきませんよ。何なら試しますか？」

とは言え、こっちは八人の中から隠密を、向こうは先着の四人の中から下手人を……これはどう見ても、分が悪いぞ。

「試すねえ……おたくって、帳簿でも誤魔化したんじゃないのかい？」