二百字掌編シリーズ 『青き目をした与力』

四十七

「偽者？　さあ、名前だけでその顔なんて」

　だがすぐに

「ま、大野屋のボンボンだけは本人だよ。昔から知ってるからな」

　あの大野屋は本物なのか。

　いや待てよ？　この春日自体が本物だと、誰が証言するんだ？

「あの兄ちゃんは三代目ながら、物書きを目指しててな。しかし先生よ？　何故にいきなり偽者などと？」　

　だが、すぐに相手は声を上げ

「ワッハッハ！　案外、この俺様自身が偽者だったりしてな！」

「え？　ハハハ」

　人の心まで読みやがって。