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十六

 相手は、喉よりドクドクと赤いものを吹き出させながらも


「わ、わしの命はな……あ、あと一月あるかどうか、なのだ」


「な、何だと?」


「で、でな、こうやって相手をおびき出し……ゴホッ」


 何を言わんとしてる?


「わ、わしに手をかけたヤツも……一緒にあの世まで連れて行こうか、と。ゴホゴホッ」


「ど、どういう意味だ?」


「じ、実はな、役人を隠密として……ゴホッ。こ、この島に潜り込ませ、下手人を上げさせようと」


 耳を疑った。


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