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第二十五話 隠密を捜せ 一
以前、多忙につき中途になってしまった話です。今回再掲するにあたり、多少内容を変更しました。by TAMAKI
「あら、旦那? 浮かぬ顔して」
いつもの時間、いつもの橋のたもと。
「ちょこっとばかし後味悪い件がありましたんや」
で、てっきり突っ込まれると思ったところ
「じゃ、聞きませんよ」
このざっくばらんさが、魅力の一つとも言える冷奴さん。
「あ、あら?」
でもやはり言わぬ方がよいと判断した男、すぐさまいつもの如く
「なな? 今日は特別に寒うおますさかい、酒なんぞを一緒に……」
だが、もちろんこれを許さないのが
「だ、旦那あ!」
*パット・マガー「探偵を捜せ」への、ほんの1%のオマージュ