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十二

 ようやく


「こらまた、やな」

 そしてすぐに山門の方を振り返り


「菊やん! ちょっと来てみ!」


 この声が届いた若者


「あ、はい!」


 こう返事して、すぐに雪の上に足を運んでいるのだが――それを見た菖蒲殿


「あんだけ嫌がってたくせして、上司の命ならばサッサと行くんだ」

 そう言いながら辺りを見回し


「ホント、寺にはお似合いの茶坊主だこと!」


 だがこれには本人ではなく、地獄耳が再び


「帰って屁でもこいて寝ろ、言うてるやろ! ボケ!」


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