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八十九
これに見向きもせず、正面の掛け軸に目をやったまま
「……ここの主が密告したのだな」
そうつぶやいた先生、身動き一つしない。
やがて二階へと上がってきた役人、その一人が
「失礼いたす。貴殿、『龍鳳塾』の長であられる由紀正宗先生とお見受けいたすが?」
「いかにも」
「ならば、話は容易。素浪人救済を掲げる一方で、裏にて幕府転覆の謀を企てた……認めますな?」
これに先生、静かにその目を閉じ
「……芽生えは後人に託すのみ」
これに見向きもせず、正面の掛け軸に目をやったまま
「……ここの主が密告したのだな」
そうつぶやいた先生、身動き一つしない。
やがて二階へと上がってきた役人、その一人が
「失礼いたす。貴殿、『龍鳳塾』の長であられる由紀正宗先生とお見受けいたすが?」
「いかにも」
「ならば、話は容易。素浪人救済を掲げる一方で、裏にて幕府転覆の謀を企てた……認めますな?」
これに先生、静かにその目を閉じ
「……芽生えは後人に託すのみ」
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