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六十三

 だが凝視している菊やんからは


「どれもが不規則に食いちぎられ……あ、顔だけはほとんど残ってないか」


「そら身元を隠す為やな」


 同様に、何故だか残酷なる絵を見せつけられている少年も


「胸やらお腹やら手足などもバラバラにちぎられてまつが」


 ここで、いきなり己の左袖を捲ってきた親分


「旦那。こいつの事ですな?」


 これに目をやった旦那も含め皆が、一斉に


「ゲゲッ!」


――露になった左腕、その肘の辺りに見えるは黒き二重の線。


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