二百字掌編シリーズ 『青き目をした与力』

三十四

　ここは神田某町にある、軍事塾は『龍鳳塾』。数百名の門下生を抱える中、今一室に三名の高弟が呼び寄せられている。

「すでにここに辿り着くべき二名が、未だその姿を見せぬ」

　ゆらゆらと揺れる蝋燭の火が、その表情の翳りを映し出している。

　そこに一人の男が

「先生。もしもその二名が来ないとなれば、次の計画は中止と？」

「ああ、山吹。そのおそれもある……だが、もう一名がこちらへと向かっているはず。彼さえ来てくれたならば」