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三十一
「そんな言葉って……案外なのね、菊水殿って」
「ホント、嫌ですねえ」
これに破近、頭を掻きながら
「自分ら、ホンマ二戸一やな……ま、時もないさかい、それにしょ!」
「ええっ! ×二」
「っちゅうわけで」
吟味方、傍らの木俣様に
「明日のいつでしたかいな? 盗みにくるん?」
「文には九つ(正午)よりと」
「ホンマ親切っちゅうか、自信満々っちゅうか」
呆れ顔の破近、皆に向かって
「ほな現地集合は下見も兼ね、一刻前の四つ(午前十時)にしまひょか?」