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七十七

「でさ、そんな気落ちしてる私に声をかけてくれたのが」

 黒豆奴、ここで部屋の方に顔を向け


「あの人だったてわけさ」


 これに叫ぶように旅館の女将が


「そ、そんな! 嘘に決まってます!」


 それを憐れむように黒豆奴が


「いや真の話さ。あの人がおたくと夫婦になる前から、そしてなった後もずっとね」


「ああ」

 その場に崩れ落ちた女将


「た、確かに月一くらい、お江戸には社会見学に行くと」


「はあ」


 冷奴姐さん、思わず溜め息をついている。


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