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三十
この時、その丸眼鏡に手をかけた藤殿
「何だか、以前の事件を思いだしますね」
「ん?」
少々首を傾げた吟味方だったが、すぐに
「ああ、わいがまだ同心の時やった『第十話 怪盗鼬小僧』の事やな?」
「ええ」
「ま、今度のヤツも同様にな、誰に化けるんかはわからへん。でな、ここで必要になるんは合い言葉やねん」
この吟味方たる発言に皆とも頷く中、ここぞとばかり手を挙げたのが
「でしたら、『おかま』『坊主』では如何なものかと?」
これから夜行バスに乗らなきゃいけないのに、東北本線止まってるってw