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七十四

 そしてサッサと出て行こうとしたところ


「待ちなさい! 旦那には聞く義務があります!」


「ぎ、義務て。それってどうせ、あのハゲの事でっしゃろ?」


 今や獄中にいる、元同心の萩殿の事らしい。


「ええ、そうですとも! だからこそ、旦那には聞いてもらう必要があるんですよ!」


「ね、姐さん……わ、わかりましたわ」


 しぶしぶ、再び腰を下ろす破近。

 それを見届けた姐さん、次に他の客の方に目やり


「あなた方は、どうぞお引取り下さいな」


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