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七十三

「つ、つみれ……」


 その場で崩れ落ちる、黒豆奴さんだった。



「女将さん。何故にこの私に恨みなんぞ?」


 そら本人してみれば、もっともな疑問である。


「冷奴さあ。随分と昔、おまえを水揚げしてくれた旦那……実は、私のいい人だったんだよ。でね、経営を司る身には、そりゃ有難いお話だったんだけどね。一人の女としては、これがさ、もう辛くってねえ」


 この時、いきなり立ち上がった破近


「ほな、山田はん。後の事はよろしゅうに!」


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