二百字掌編シリーズ 『青き目をした与力』

百四十四

「おい矢車！　少々、口が過ぎぬか！」

「え？　あ、これは失礼を」

　そう言いながら、軽く頭を下げだ相手だったが

「しかし如何にたまたまであろうと、四人もの仏が出たのは紛れもない事ですぞ」

　これにも葉隠様、動ずることもなく

「それくらいはわかっておる。しかしだな、今の話は理にかなっておろう？」

　そして、再び破近の顔に目をやり

「鈴木殿。その先を続けなされ」

「おおきに、葉隠はん！」

　すでにその口調、馴れ馴れしくなっている。