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九十八

「あらま。あたしとしたことが、つい」


「フン」


「実はね、せんせ。この冷奴、お江戸では案外名が知られた芸子でして」


 これに右眉だけを上げた相手


「芸子?」


「そうですよ、せんせ。でね、今度お江戸にお越しの際には、綺麗どころを集めさせてもらいますから」


 次に左眉だけ上げて


「綺麗どころ?」


「そそ。もちろんタダで」


 これに福神さん、両眉とも上げ


「さ、早く用件を言わんか!」


「さすが気風きっぷのよい……」

 無論小声で


「この助平」

 

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