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七十二

「もうちょっと詳しく聞かせてみ?」


「ええ」

 菊やん、頭の片隅にあった事件を手繰り寄せながら


「……深夜に五、六名ばかしの賊が襲撃し、あっという間に三百両もの金を強奪し」


「さ、三百両!」


 驚く喜助に目をやりつつ、破近も


「ごっつい量やな」


「知らせを受け、我々も馳せ参じたのですが」

 菊やん、ここで目を伏せ


「着いたところ、荒らされた部屋の中には……主人や家族、および使用人の合わせて七人もの亡骸だけが」


「鬼畜やな」


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