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六十四

 いきなり振られた二人


「は、はい?」

「な、何でございましょう?」


「おたくらな、この皆はんの酌とかしたん?」


 これに女将が


「いえ。お酒はお持ちしただけで、お酌などは一切してはおりません」


 隣のお凛も、さかんに頷いている。


「そか。ほなら……」

 表情を、彼なりに柔らかくした吟味方


「あんたら二人もな、シロっちゅうわけや」


「そ、そうなるんですか?」


「山田はんなあ。考えてみ? どうやってな、姐さんだけに一服盛るんや?」


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