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六十

「まあまあ、落ち着きなはれ。でな、今のとおりやねん。見ず知らずの姐さんを罠にはめる……そこにはな、これっぽちの必然性も見出せんのや」


 そこに山田さんが


「でも、たまたまかも?」


「ん? ほな、そちらはんに聞きますわ」

 ここで、破近が元芸子衆に向って


「昨夜、ここの誰かに会いはりました?」


 これには姐さんが


「私ら、広間で盛り上がってましたからねえ。外には一切顔を出してませんが」


 そして、全員共に首を縦に振っている。


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