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十三

「お! 破近、木俣様が戻って来いやて!」


「うおお! や、やった! さすが父上!」


 そんなはずもない。町内から一歩外に出れば、誰一人として知らない十三兵衛さん。

 だが、当然ながらお富さんの機嫌がすこぶる悪い。


「ま、お富、許したってや」


 だが


「お富、やや子が欲しいんや!」


 この爆弾発言にたじろぐ破近


「ホ、ホンマやったんか」


「ああ。われ何とかせえ!」


 しばし考えた破近


「やっぱな、鬼の子は世間様に迷惑かけるさかい、な?」


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