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五十四

「ほな開始や!」


 手にした虫眼鏡を、早速相手目がけて振り下ろそうとする姐さん。


「どつくぞ!」


 一方の山田さんはと言うと


「ちょ、ちょっと」


 こう言いながら、必死で姐さんの手を押さえにかかっている。

 そして、この小芝居に見入ってる周囲の面々。

 そこに監督からの指示が飛び


「山田はん。姐さんの指輪を取ってみ!」


 言われたとおりに相手の手を狙ってくる山田さんだったが、これに姐さん


「やめんか、このカス!」


「カ、カスて?」


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