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八十九
「真の名は辰兵衛と申す者です。詳しくは申せませんが、仰せのとおり、兼ねてより恨み辛みを持っておりました」
「何や深そうやな?」
だが、相手はこれ以上何も言ってはこない。
やがて二人の正面を一陣の北風が襲ってき
「さ、寒っ!」
思わず襟巻きを直す破近
「しゃあないな、霜月も半ばやし」
一人つぶやく、その息も白い。続けて
「その辰兵衛を二十二日、綾吉に始末させた」
これも独り言ととらえたのか、何も言葉を発してこない男。
「真の名は辰兵衛と申す者です。詳しくは申せませんが、仰せのとおり、兼ねてより恨み辛みを持っておりました」
「何や深そうやな?」
だが、相手はこれ以上何も言ってはこない。
やがて二人の正面を一陣の北風が襲ってき
「さ、寒っ!」
思わず襟巻きを直す破近
「しゃあないな、霜月も半ばやし」
一人つぶやく、その息も白い。続けて
「その辰兵衛を二十二日、綾吉に始末させた」
これも独り言ととらえたのか、何も言葉を発してこない男。
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