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六十五

「く、曲者!」


 天井からの音に、こう叫んだ松殿。だがそれに続いて


「こら、蕾! ちゃんと襖から……」


 時すでに遅し。天井から強烈な音と共に落ちてきたのは


「いたたたあ!」


 そんなしきりに腰をさすっているくの一に、怒鳴るご主人様


「ええ加減にさらせよ! 今度やったらな、クビにしたるさかいな!」


「え? グスッ……えーん!」


 これを見た桜殿、冷たき視線で


「あらあら、いい大人が娘を泣かせちゃって」


「はああ? なんちゅう事を?」


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