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五十四

「では、もう一つだけ」


「本当に最後だろうな?」


「ええ……二十四日の夜は?」


「二十四だと?」

 これに腕を組んだ男、やがて


「よく覚えてないが、おそらく一人で飲んでたよ……じゃ、帰るからな!」


 ここで、傍らで立っている吟味方に目をやる藤殿。

 それに初めて口を開いてき


「鉄蔵はんやったな?」


「な、何だ?」


 相手の目の色を見て、すでに動揺している男。


「わいやったらな、ここに連れられた訳がもっと気になるけんど……な?」


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