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第二十話 一二三殺人事件 一
いつもの橋のたもと。今朝もいそいそ向かうと思いきや、何故だか妙に足取りの重い男。
そこに向こうから
「あら旦那! おはようございます!」
まだ心の準備もできていない破近、思わず咽び
「ゴホゴホ……お、おはようさんですわ」
その様子に、姐さん心配そうに
「あらら、お風邪でも召されましたか?」
風邪を召す方がはるかにマシ――こう思いながらも破近、一応確認のため
「昨夜あれからでんな、お静は洗いざらいを吐いてくれまして」
*アガサ・クリスティ「ABC殺人事件」への、ほんの1%のオマージュ