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四十六

「で、さっきの続きやけんど」

 破近、スズキを口にしながら


「仏さんになった男と娘が付き合ってたんは間違いないんですわ」


「それじゃ、やっぱり心中じゃ?」


「いや、それが娘の方はお多恵やけんど、男の方はっちゅうと二つも名がありましてな」


「二つも?」


「そそ、清次と市蔵っちゅう二つでんな」


 刻む音の間隔が、やや間延びしている。

 一方、頭を捻っている姐さんだったが


「それって、相手によって使い分けた……もしや、二股?」


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