二百字掌編シリーズ 『青き目をした与力』

三十五

「いくら吟味方様のご要望でも、もはや土の中にて静かに眠っておりますゆえ」

　予想通りの答えをしてくる、お多恵の母親。

「わいもでんな、ありきたりの訳ではここまでは言いまへんよって」

「え？　訳、ですか？」

　ここで破近、語気を強め

「お多恵ちゃん、おそらく誰かに殺められたんですわ！」

「あ、殺め……真ですか！　だ、誰に！」

「そやから、こうして検めに来てるんですわ」

　そして破近、相手の顔を覗き込み

「お多恵ちゃんな、早よ成仏させて上げまひょ！」