二百字掌編シリーズ 『青き目をした与力』

十二

　三人揃って番屋へと戻ってきたところ、目の前では見知らぬ中年女が激しき口調で何か言っている。無論、その相手は留守番の――

「おたくね、そんなに食い下がれても、すぐに居場所なんてわかるはずがないでしょが！」

「で、でも、お役人様！　あの子が、何も言わずに一夜中家を空けるなど考えられません！」

　この光景を見て、問答中の二人に近づく吟味方。そして、女の方に向かって

「なあ？　このわいに、一から話してもらえんやろか？」