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四十四

 名取屋の中へと消えた男、やがて先ほどと同じくらいの時間で外へと出てきた。


「これは相違ないですねえ」

と、頷きながら蕾


「召し取りますう!」



 ひと気のない道で、いつもの如く前方にて立ちふさがるくの一。

 この男、無視すればいいものを、そこはやましさゆえ


「な、何だあ?」


 そこに背後から


「心地よい風でつね! じゃあ……」


 これに


「へ、屁は、だめですう! 私のがめらの術で……」


「それはだめでつ! 懐の中の物まで燃えるでつ!」

 

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