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四十

 ちっちゃな位牌に向かって、手を合わしている吟味方


「ホンマに可愛そうでんな」


 だが、相手は何も答えてはこない。

 ここでいきなり


「どこが善次郎やねん! どう見たって悪事郎やろ!」

 これに、隣の目が見開かれたのを横目で確認した破近。そちらへと向き直り、穏やかに


「ホンマ、仏になって当然の奴でんな?」


 だが、畳に目をやったまま無言を貫く男。

 しかしそこは上方人、何らかまうことなく


「でな、下手人が自首してきましたんやわ」


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