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三十二

「ええで。ほな風魔の底力、たんと見せてみ!」


「はいですう!」

 元気よく返事した蕾、早速糸に吊るした一文銭を相手の目の前で振りながら


「いいですかあ? ほうら、あなたは眠くなりますう。あなたは眠く……」


 やがて術にはまって、放心状態に陥ってる琢郎。そしてその一部始終を見守った破近、冷たき口調で


「確かに上達したんは認めるけんどな」

 続いて、今度は手前に目をやり


「相打ちやん!」


 そう――術をかけた方も放心中だった。


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