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「え? あ、捜してもいなかったもので」


 木俣様、相手が毛嫌いしているのを重々承知ゆえ


「まあ、よい。では早速そやつをここに」


 だがこの時、襖の向こうより


「お奉行。明智ですが、よろしいでしょうか?」


「ああ、入れ!」


 この言葉で姿を見せた明智様


「あれ? 菖蒲さんもいたの?」


 これにご本人、抜け駆けの罰の悪さで下を向いたまま


「え、ええ」


「で、何事だ?」


「あ、はい。実は、善次郎を殺めたって言う男が番屋にやってきまして」

 

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